昨日は、聴くトレーニングの2回目、問題把握力について開催いたしました。
悪天候の中、定員いっぱい6名の方が参加して下さいました。
ありがとうございました。
帰りの電車は大丈夫だったでしょうか?
問題把握について、評価区分の説明を読まれていますか?
実際には、「相談者が訴えている問題点」が何かを、捉え理解することが、まずは第一歩となります。
だって、相談したいことがあるから来ていらっしゃる。
それがわからなければ、何もお力になって差し上げられません。
非常に大切なポイントだと思いますよ。
受講生のロールプレイを見ていて感じたのは、なかなかここが押さえて切れていない様子。
結果、来談目的からあまり深まってはいないようなのですね。
お話しを丁寧に聴く姿勢はできていると思います。
ですが、「カウンセリングの理論とスキルを用いて」と、評価区分の関係構築には書かれています。
ただ、誠実な態度、丁寧に聴く姿勢、なだけでは、訴えている問題点には気づけないと思います。
もう一度、細目を読み直してみましょう。
12~15分ほどかけてお話しを聴いていたにも関わらず、結局、何が相談したくて来たのか?にたどりつけなければ、問題把握にはつながりませんし、結果、お力にはなれません。
何を、どのように聴くことが、話を深め気づきを促す会話として成立していくのか、しっかり考えてみましょう。
ヒントは
自己理解
仕事理解
だと思いますよ。
(講座に出てくださった方にはお話ししましたよね。今後の練習で活かしてください。)
さて。
問題把握力というのは、相談者の訴える問題点だけでいい、わけではありません。
実際には、「試験対策」で言うと、この相談者が訴える問題点を尊重し続けた展開で合格します。
その方が、ご本人も納得感が高いですしね。
ですが、実務で言うと足りません。
そう。
相談者が訴える以外の問題点、いわゆるCC視点での問題点に気づくことが大切です。
口頭試問でも聞かれますし、論述試験の問2でも必要な視点です。
評価区分によれば、「推論の根拠も説明できること」とあります。
つまり、相談者が訴えている問題点の中にある、気づいていらっしゃらない点、不足しているスキル、情報、明確でないこと、などが、やり取りしていた会話の中から理由としてチョイスできることが大切です。
昨日の講座で例に出した話をここでも書いてみますね。
相談者が訴える問題点として、「求人に応募したいのだが、何に応募したらいいのかわからない。教えてほしい」という訴えだった場合。
キャリアコンサルタントとして、「自己理解が不足しているのではないか。仕事理解が不足しているのではないか。」という問題点があると気づきます。
これが、問題把握力になります。
実務スキルで言うと、このCC視点の問題点を相談者にお伝えしたうえで、真の問題を相談者・CCで共有することが大切です。
それを踏まえた、目標設定へと進んでいくわけです。
ですが、相談者にいきなり、「自己理解が不足しているから、まずは自己理解をしましょう」とお伝えしたら、どうでしょうか?
納得するでしょうか?
相談者が訴える問題点の解決のために、自己理解が必要である、ということはわかります。
問題は、それをどう相談者にお伝えしていくか、ということです。
一例として
「何に応募したらいいのかわからないということですが、やりたいお仕事などはありますか?」とか、「希望条件などはお決まりですか?」などの投げかけをし、不足を一緒に確認することで、自己理解が必要であることを相談者自身が納得できるように進めていくことができます。
その結果、真の問題というのが、たとえば「できることはあるが、やりたいことが決まらないため、何に応募していいのかわからない」と、相談者が訴える問題と、CC視点の問題をふまえたことである、ということに到達できるわけです。
実際のロールプレイの中で、本来であれば、ここまでしっかりお伝えし共有するスキルがあるとベストだと思います。
それが、実務ですからね。
試験対策という視点に立つと、CC視点は口頭試問でしっかり答えられればよい、と説明はします。
ただし、相談者は気づいておられないけれど、解決に役立つ問題点であることに変わりはありません。
ですから、今後実行したいことの中で、CC視点で捉えた問題を取り扱うことを説明するように教えています。
ですが、前回の試験辺りから、相談者の訴える問題を考えていくと、相談者の中に矛盾があるな…というケースが散見し始めました。
となれば、その矛盾をCCとして捉え、対決させる(相談者自身の中で矛盾に気づく)スキルも、問題把握をしていく過程では重要だと考えています。
なかなか、ハードルの高い試験になってきたな~という印象がありますが、ベースにあるのは、「すべては相談者のために」だと思いますよ。
何が相談したくて、今日は来て下さったのか。
まずは、それを理解して差し上げて下さいね。
そして、そのために必要なこと、CCとしてできることを考えましょう。
自分主導ではありません。
相談者が訴える問題点は、主訴と呼ばれることが多いですね。
主訴の主は、主人公・主役の主です。
あくまでも、キャリアコンサルティングにおける主役は相談者ですよ。
ロールプレイにおける「問題把握」のプロセスは、時間に余裕を持って、丁寧に確認しながら進めていくこと、しっかり共有できること、が実は重要である、ということを、お伝えしておきたいと思います。
コメントをお書きください