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第20回 論述試験

今回、解答例を掲載することを、少しためらう気持ちが生まれています。

私自身が解答例を出すことで、その言葉や言い回しだけに引きずられてしまう方が多いように感じているからです。

また、私の書く解答例がすべてではなく、決して100点は取れないであろう解答であることを考えると、一例とはいえ、「こうやって書いていないと到達しない」と、自信を無くされてしまう方が多数いらっしゃるからです。

 

とはいえ、何かの手がかりを得たくて、こちらのHPに来てくださっている方もたくさんいらっしゃることは存じておりますので、私自身が問題を読んで感じたこと、私の視点を記述してみようかと思います。

あくまでも私の視点であり、考え方になりますので、ご了承ください。

 

 

今回の事例は大学生でしたね。

文系3年生の女子。

タイミングは、試験が6月ということ、夏休みのインターンシップを悩んでいること、を考えると、同じ6月という認識でよろしいかと思います。

現在、このインターンシップ開催については、様々な意見が出ていることは、インターネットのニュース等でもご覧になっていらっしゃるかと思います。

インターンシップは、あくまでも就業体験の場であることを踏まえると、明らかにそれとは違うニュアンスで催されている印象があるかと思います。

1dayという名の説明会も多くありますよね。

私の教え子にも、行くように進めています。

何しろ私の教え子は短大生です。

入学してすぐに行われる、夏のインターンシップですから、本当にキッカケづくりにしかなりません。

でも、ここでのキッカケづくりには大きな効果があるのです。

特に1dayの場合は、負担の少ない形で、様々な業界・職種のことを聞く機会が得られるわけです。

自分自身の方向性や適性など、まだまだ明らかになっていない状態でもある中で、まずは、業界やお仕事の内容について知る機会となり、自己理解・仕事理解を深めていく手がかりが得られます。

 

こういった背景を考えてみると、この相談者さんがインターンシップに参加したい気持ちというのを、尊重してあげる気持ちは持ってほしいのかな、と感じます。

もちろん、インターンシップの参加が「絶対」なのではなく、あくまでもこれからスタートする就職活動のキッカケづくりであり、よい機会ではあるものの、「すべき」ものではありません。

相談者さんは、他者の意見を聞くことで、「すべき」のイメージをお持ちのようですが、まずは、本来のインターシップにおける目的や意義、意味や意図、効果などを、ちゃんと話し合ってほしいな、と思います。

そうすることで、自分自身の参加に対する意味づけがなされ、目的をもって活動に入っていけるのかな、と思いますね。

 

学生事例の場合、「自己理解・仕事理解不足」は、よくあることです。

そもそも、今回の事例は3年生の6月です。

まだまだ自己分析が進んでいなくても普通でしょう。

となれば、「学生だから自己理解を深めなくては!」と、鼻息荒く書いていくことだけが、今回の方策ではないのではないか、と感じています。

だって、インターンシップの参加そのものが、実は、自己理解・仕事理解を深めていく機会として用いられているのですから。

そのあたりを、うまく組み込んであげたい気がしますね。

 

結局のところ、この相談者さんが抱えておられる悩みや、現在、困っていることがあるから来てくれたんだ、ということを置き去りにしないでほしいな、と思います。

実際には、キャリアコンサルタントとして捉えた問題点が重要であり、そこに気づいておられないからこそ、問題なんだ、とも言えます。

相談者さんが訴えていることと、キャリアコンサルタントが捉えたことを合わせて、「問題把握」です。

ですが、こちら側が、「こうあるべき。ここに気づくべき。」という思いでいると、心が離れてしまうのかな、と感じます。

これは、日常の業務の中でも感じています。

私自身が学生対応を日常的にしておりますので、本当に感じていることです。

自分の子どもと変わらない年齢。

様々なことがまだ未熟であり、言葉遣いや、活動への意欲についても、深めることができていません。

なーんとなく、就職活動という学生も少なくありません。

でも、彼らは彼らなりにいろいろ考えていることもありますし、きちんと聴いていくと、心を開き本音を話してくれることも多々あります。

その中で、叶えたい思いがあるのですから、そこは大切にしてあげたいと思っています。

 

要は、「すべては相談者のために」ということです。

 

 

論述試験の解答としてどう書くべきか、ということに関しては、具体的にはブログでは記載していきませんが、相談者さんが今現在困っていることと、今後に向けてこうなっていくべきではないか、というキャリアコンサルタントの思いを、相談者さんのために理解を進めていく形で展開できたらいいかな、と思います。

 

※実際に、ダウンロードした解答用紙に記述はしております。

ご希望の方は、まずはお問い合わせください。