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論述対策講座を開催しました

先日、論述試験の対策講座を開催しました。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

良い学びのお時間が提供できていたらいいのですが。

 

実際の問題に向き合う前に、少しだけ実技試験としての考え方や、配点について、書きあげる時間配分について、などをお話ししました。

わかっていたつもりであっても、改めて説明を聞くことにより、新たな気づきもあったかと思います。

 

そして、みなさんと双方向のワークと言う形で進めていく中で、問題点かな、と思う部分がいくつかありました。

その中で、今回の参加者だけでなく、ひょっとしたらたくさんの受検生が陥っているであろう思考がありましたので、ご紹介します。

 

◎「これを書いておけば大丈夫だろう」という自分なりのキーワードを持っている

いろんなパターンがあるように思いますが、これを自分の中に用意している方は多数おられます。

いくつか列挙してみますね。

  • 問1のCLの問題は、感情の言葉、繰り返している言葉、認知、を拾っておけば大丈夫。
  • 問1のCLの問題は、すべて書いていると書ききれないので、絞り込む。
  • 問2のCCが捉えた問題は、自己理解不足・仕事理解不足・思い込み、の3つが必ずある。
  • とにかくたくさん書く

みなさんは、いかがですか?

また、とある講座の某講師が数年前からずっと言い続けていることに、「4S」を使って書けば必ず受かる、という謎の指導があります。

この指導を受けて、なかなか受からないという方を数名、存じ上げているのですが、私の講座に参加してから驚かれることも多いです。

本来、悩みを抱えていらっしゃる方は、ほとんどの方が何かしらの転機にいらっしゃいます。

その転機において、適切な乗り越え策を自分の視点だけでは考えることができず、相談にお見えになるわけです。

ですが、必ずしも、4S点検だけでどうにかなるのでしょうか。

 

本来、キャリアコンサルティングというものは、まずは「カウンセリングの理論とスキルを用い」て進めていきます。

(もちろん、基本的な態度、誠実な関わり、などを踏まえて、です。)

そして、相談者によっては、このカウンセリングの理論とスキルで、行動変容に結びつくこともあるわけです。

傾聴や積極的かかわり技法を用いてお話しを進めていく中で、ご自身に気づきが生まれ、自律的に歩みを進められる方もいるわけです。

 

今までキャリアコンサルティングを学んできて、キャリア理論は4S点検を使えば大丈夫、なんて教わりましたか?

さまざまな理論がある中で、相談者に合わせ、適切に理論をチョイスし、進めていくように教わりませんでしたか?

そうなれば、4Sだけで進められるわけではない、ましてや、4Sで書けば合格できる、なんてナンセンスですよね。

 

実際の実技試験では、キャリア理論を使いましょう、などとは細目に書かれていません。

(もちろん、学科試験では問われます。あくまでも、細目の実技試験のページには書かれていない、ということです。)

では、何をしましょうと書かれているのか。

それは、ご自身で改めて読み直して確認しておきましょう。

 

さて、対策講座のお話しに戻ります。

 

問1の相談者の問題ですが、これはやはり、相談者自身の発言に着目していきます。

対話の中で、話が飛ぶこともありますよね。プラスの思い、その思いに対する阻害要因やマイナスの感情。さらに、改めて出てくるプラスの思いやなりたい姿。

こういった、あちこちに飛ぶ相談者の思いや発言を、そのまま時系列(発言順)に書いていたのでは、まったくまとまりのない文章になります。

そして、書ききれないことも出てくるのではないでしょうか。

これはすなわち、キャリアコンサルタント自身が、相談者のお話しを「整理しながら」聞けていないからだと思われます。

ただ、相談者の発言の中から落とせないキーワードを拾っていくだけでなく、「全体感」もキャッチできた方がいいと思いますよ。

どんな状況にあり、どんな思いがあり、何が辛く、どうなりたいのか。

きちんと、論理的に説明できるような整理が必要ですね。

言ってみれば、あの逐語を読んだ後に、相談者の方の発言を要約していくような感じでしょうか。

そして、それを相談者に問いかけた時、「そうです」と言ってもらえるかどうか、ですよね。

この力は、面接試験でも絶対に役に立ちます。ぜひ、過去問を用いて練習してください。

整理の仕方は、ケースによっていろいろです。

2つの問題を一つずつ整理して渡す方法。

相反する矛盾な点を提示して渡す方法。

なりたい姿とそれを阻害する要因と思いで渡す方法。

どんな整理が、この方のお悩み整理にふさわしいのか、しっかり考えてみることが大切です。

いきなり解答用紙に書き始めるのではなく、整理を目指したメモを活用してもいいと思います。

2分割や、4象限、矢印やカテゴリ分けなど、図を用いるのも分かりやすいと思いますね。

 

次に問2ですが、これは、上記の問1で洗い出されたことの中にあるはずです。

必ずしも、自己理解不足や仕事理解不足だけで書けるものではありません。

(特に、第21回の問題は、自己理解不足・仕事理解不足だけだと難しかったと思われます。もちろん、どちらもあるのですが、何が不足し、どう補うか、まで、この逐語記録とあっていなければ、少し薄い感じにはなると思います。)

ここで忘れてほしくないことが、環境への関わりと今後のキャリア形成という視点です。

悩みの中にいらっしゃる相談者は、比較的、この2つの視点に不足が感じられることが多いですね。

自分の問題だから、と自分ひとりで抱えておられたり、目先の問題ばかりに気を取られ、先のことが考えられなかったり。

ここをキャリアコンサルタントとして意識できると、かなり相談者のお役に立てることも多いかと思います。

忘れないようにしたいところです。

 

問3については、次回また書きたいと思います。

 

【参加者の感想を紹介します】

半日の講習で、今までの疑問が解消され、モチベーションが上がりました!
問題間の繋がりや解答のコツ、試験情報までガッツリ学ぶことができました。ありがとうございました。
試験の合格は目標ですが、キャリコンとしてのスキルを上げたいと思うようになりました。

試験は通過点として頑張りたいと思います。
福浦先生から沢山の事を学びたいです。
今後とも宜しくお願い致します。

昨日はありがとうございました。
講習を受けて、自分が書いたものは取りこぼしが多く、これでは受からないだろうなと気づかされました。
昨日でスイッチが入ったので、今回は合格出来るよう頑張りたいと思います。