言語での意思疎通

キャリアコンサルティングとは、基本的には言語による意思疎通、すなわちコミュニケーションをとることで、進んでいくかと思います。

もちろん、非言語の観察は重要になりますし、場面やケースによっては、視覚的なツールも必要になるかと思います。

 

昨日、外国人の方とキャリアコンサルティングを実施しました。

日本語は少ししか理解できす、話すことはほとんど片言のみという状況でした。

ジョブカード面談ではあったのですが、もともと通訳の方にお願いして作成したらしきジョブカード。

当日も、少しは日本語が話せますよ、という事前情報の中、実はほとんど話せません、という状況でした。

 

言語だけで意思疎通を図りながら時間を過ごしていくことは、ほぼ無理と感じました。

それでも、何かしらの意味を、この面談に感じてもらいたいと思いました。

これから訓練を通し技術を身につけ、そののちには正社員として採用される。

それを想定している面談なのです。

言葉がわからないから、何の時間だったのかわからないけど…、で終わらせたくはありませんでした。

何より、若い女性が勇気を持って日本で働こうと思っていること、応援したい気持ちでいっぱいです。

 

初めは、日本が好きかどうか、日本の何が好きなのか、雑談のようなところからスタートしました。

そして、今の仕事は大変か、うまくできるか、難しくは無いか、というところへ。

教えてくださる方がとても親切で優しい、だから大丈夫、というようなことを、一生懸命、伝えてくれました。

 

言語だけでの意思疎通が難しいと感じて、私は何に必死になったのか。

そう。

彼女たちの表情を観察していました。

口角が上がるか。

眉間にしわが出ないか。

つまり、表情が曇ったり、笑顔になったり、という変化を、決して見逃さないようにしていました。

さらに、首をかしげたり、肩に少し力が入ったり。

そして、そこでキャッチした感情を、私も同じように表現し、必死で共感を伝えました。

 

最後のアンケートでは、またキャリアコンサルティングを受けたいと思う、ということろにチェックを入れてくれました。

「また、話したい」

つたない言葉で、そう言ってくれた。

嬉しい瞬間でした。

 

日常の面談で、耳から入る言語そのものだけに、ずいぶんと頼った時間を過ごしているのではないか。

そんな風に感じました。

実際、1級の試験では、面談記録を持参する事例相談者との面接試験で、盲目の方も合格しています。

見えるから有利なわけではありません。

でも普段、見えるから見逃していることも、とても多いのではないかと感じました。

今回、聞こえるから見逃していること、聞き逃していることもある、と実感しました。

五感を使って、全身で、全力で「聴く」ということ。

ひょっとしたら、普段はしていないのではないだろうか。

「聞き」ながら、「思考」ばかりが活動し、「心」は置き去りにしているのではないだろうか。

 

そんなことを感じた、昨日のお仕事でした。

 

ひょっとしたら、試験対策のロールプレイでは、目を閉じて行うことも、視覚以外の感覚を研ぎ澄ますためには、有効なのかもしれない。

そんな風にも思った1日でした。